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札幌高等裁判所 平成3年(行コ)13号 判決 1992年10月29日

北海道小樽市朝里二丁目六番一五号

控訴人

本間運輸株式会社

右代表者代表取締役

本間正一

右訴訟代理人弁護士

田中宏

北海道小樽市富岡一丁目一六番一号

被控訴人

小樽税務署長 金子与四男

右指定代理人

栂村明剛

箕浦正博

高橋重敏

桜井博夫

高橋徳友

荒木伸治

平山法幸

右当事者間の法人税等更正処分取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴人を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

一  控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和五九年七月一二日付けで控訴人の昭和五四年四月一日から昭和五五年三月三一日までの事業年度の法人税についてした、更正決定処分のうち所得金額四七〇二万〇四一五円及び法人税額一八〇三万八二〇〇円を超える部分の処分並びに右超過部分に対する重加算税賦課決定処分を取り消す。被控訴人が昭和五九年六月二六日付けで控訴人の昭和五六年四月一日から昭和五七年三月三一日までの事業年度の法人税についてした、更正決定処分のうちの所得金額一五八二万一六五九円及び法人税額五二八万三九〇〇円を超える部分の処分並びに右超過部分に対する重加算税賦課決定処分を取り消す。控訴費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文第一項と同旨の判決を求めた。

二  本件事案の概要及び証拠関係は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決事実及び理由「第二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決二枚目裏末行の「原告は、」の次に「一般区域貨物自動車運送事業の免許を受け」を加え、同四枚目表一〇行目及び同五枚目表九行目の各「領収書」を「領収証」と、同裏二行目の「損金算入限度額」を「のうちの」と改め、三行目の括弧書部分を削り、四行目の「損金算入限度額」を「うちの」と改め、同行の「事業税」の前に「前期の」を、五行目の「認容」の前に「新たに」をそれぞれ加える。

2  同六枚目表一行目及び三行目の各「年度」の次に「の申告所得」を加える。

3  同添付別表(1)の各「更生」を「更正」と改める。

三  当裁判所の判断は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決事実及び理由「第三 争点に対する判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。

1  各「領収書」を「領収証」と改める。

2  原判決六枚目表一一行目の「美知子」を「美智子」と、同裏六行目の「六八名」を「六九名」とそれぞれ改め、同七枚目表五行目の「傭車の」次に「必要性及びその」を、六行目の「について、」の次に「自己保有車(控訴人名義の事業用自動車台数《名義貸し分を一部含む。》は、昭和五四年事業年度で四八台、昭和五六年事業年度で五六台であった。)を使用する外、」をそれぞれ加え、同行の「きたが、」を「きた(甲第六一五証、乙第一、一二号証、控訴人代表者の供述)。」と改め、七行目の冒頭に「ところで、控訴人代表者は、」を加え、一〇行目の「してきた。」を「し、」と、一一行目から末行にかけての「あった。なお、原告代表者は」を「あり」とそれぞれ改め、同裏一行目から二行目にかけての括弧書部分を削る。

3  同八枚目表三行目及び九行目から一〇行目にかけての各「五九件」を「五八件」と改め、同裏九行目の「各表」の次に「精算書欄」を加え、同九枚目表五行目から六行目にかけての「言わざるを」を「いわざるを」と改め、同裏一行目の「高谷産業」の次に「等」を加え、六行目の「五七件」を「五八件」と、七行目の「昭和六一年」を「昭和五八年」と、同一〇枚目表七行目の「うけがえる」を「うかが」とそれぞれ改め、同一一枚目表一一行目の「高谷産業」の次に「等」を、同裏七行目の「準拠して」の次に「その所在の有無を」をそれぞれ加え、同一二枚目表四行目から五行目にかけての括弧書部分を「乙第五ないし一一号証、第二二号証の一〇七ないし一一〇、第二三号各証、第二四号証、第二五ないし二八号各証、第二九号証、弁論の全趣旨」と改める。

4  同一三枚目裏一一行目の次に行を改め次のとおり加える。

「(三) 結論

以上によれば、控訴人は昭和五四年事業年度において別表(2)記載のとおり、昭和五六年事業年度において別表(3)記載のとおり、それぞれ発注元からの運送を請け負い実施したが、これに対応する控訴人の昭和五四年事業年度における高谷産業等に対する傭車費及び昭和五六年事業年度における及川運送等に対する傭車費の負担はいずれも架空のものであったと認められる。ところで、控訴人の当時の業務形態からすると、控訴人は右発注元からの運送について下請けに出さず自らこれを処理する等の方法をとり、それに要した費用を本件各申告に係る経費で賄ったことも十分にあり得るところである。そうすると、本件において右傭車費の負担が否定されたからといって当然に他の費用を別途損金として控除することを要することはならず、控訴人からその点について何らの具体的立証もない本件においては、右運送に係る他の費用を損金として控除する必要はないものというべきである。」

四  よって、本件控除を失当として棄却することとし、控訴費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 河合治夫 裁判官 高野伸 裁判長裁判官仲江利政は退官につき署名捺印することができない。裁判官 河合治夫)

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